2015年5月19日(火)
住まいの向きとライフスタイル
先日、友達と京都の永観堂を訪れました。
古くから「もみじの永観堂」とよばれ、
秋の紅葉がすばらしいので何度か来たことがあったのですが…
今の季節に訪れたのは初めてでした。
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青もみじがこんなに美しいとは。
どこからかカエルの声もして…
新緑の息づくお庭と一体になったような境内をめぐってから
暗く静まり返った堂内に入ると、陰影がよけい強調されるようです。
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よく磨かれた廊下には木々の緑がうつっていて、とても安らぎます。
光と影のマジックをいたるところで感じました。
日本庭園の多くは北向きに配されているそうです。
北向きの風景にはお日様の動きによって影響を受けない安定した光があり、
日が当たる木々や池の水の表情ををゆったりと楽しむことができるからだそうですが、
深く納得してしまいました。
住まいにおいては何かと敬遠される北向きですが、
北向きのお部屋は勉強部屋に向いている、という考え方があるのをご存知ですか。
安定した明るさの室内は心が落ち着き、集中力が高まるのだそうです。
でも、住まい選びにおいては、土地や住宅は南向きが良しとされています。
「南向き信仰」という言葉まであったりして…
これ、実際はどうなんでしょうか。
すっかり前置きが長くなりましたが、
今日取り上げてみたいのは、「住まいの向きについて」です。
私の自宅マンションを例にあげて考えてみます。
8年前に築25年の中古マンションを購入、リノベーションしたのですが、
このマンション、立地上、
「琵琶湖が一望できて景色が素晴らしいけど、午後から日陰になってしまう東向きリビング」の住戸
もしくは
「向かいのマンションが視界に入り景色はあまり良くないけれど、日当たり良好の南向きリビング」の住戸
というわかりやすい2択なのです。
当時の我が家の選択は、「断然南向き」でした。
だって、お洗濯やお布団をカラッと干したいから。
時々売りに出される他の住戸も、南向きの物件から早く売れていきます。
やはり南向き信仰は根強いようです。
しかし入居後、
東向きリビングのお宅にお邪魔させていただいて、感動!
眼前に広がる青い空や琵琶湖の美しいこと。
昼下がりの薄暗くなった室内から眺めると、余計に美しさが強調されるようです。
こちらの住人であるママ友は、
朝早いのが平気なので、洗濯はお日様が入る午前中に乾くよう、
早朝に干しているそうで、日当たりにはあまり不満を感じていないようです。
そういえば、マンションには数名外国の方がいらっしゃいますが、
皆様「琵琶湖ビューの東向き住戸」にお住まいです。
ヨーロッパでは、家具が傷むなどの理由から南向きの強い光はあまり好まれず、
安定した光のなかの風景を楽しむことが優先されるそうなので、
なるほどなっとくです。
でも、朝が苦手で、
お日様のにおいの布団が捨てがたい私には、
やはり南向きで正解だったとも思うのです。
マンションだと窓の数が限られますので、こんなふうに
より価値観が浮き彫りになって面白いなあと感じました。
要は正解はなく、
自分の価値観やライフスタイルを見極めることが大切なんですよね。
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土地や建物の条件により、
明るいお家が望めない場合もあります。
でもどこもかしこも明るい家が、
心地よいとは限らない。
薄暗い空間も、まぶしい朝日も、西日のオレンジ色も、
お部屋に印象的なワンシーンを演出してくれる時間がある。
住まいでも、光と影のマジックは楽しめます。
一般的に語られるメリット・デメリットだけでなく、
そんな視点をもってみることも、
お家づくりの大切なポイントだと思います。